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遺産分割で介護の寄与分を主張したい場合の証拠について

  • 文責:弁護士 澤田啓吾
  • 最終更新日:2026年1月14日

1 遺産分割協議で寄与分を主張したい場合の証拠

被相続人の介護を担っていた相続人が寄与分を主張したい場合には、次のような証拠を揃えておく必要があります。

① 被相続人が要介護状態であったこと、およびその程度を示すもの

② 被相続人の介護を実際に行っていたことを示すもの

③ 介護のために相続人自身が負担した費用を示すもの

さらに、これらの証拠を元に、寄与分が存在することが認められて、はじめて相続財産の中から寄与分を取得することができるようになります。

介護をしていた事実は形に残りにくく、実務においては寄与分の有無や金額についての争いが長期化することもあります。

そのため、介護をしている段階から、客観的かつ具体的に寄与分の存在を証明できるようにしておくことはとても大切です。

以下、遺産分割協議における寄与分の詳細と、上述の①~③にあてはまる証拠の具体例等について説明します。

2 遺産分割協議における寄与分

遺産分割における寄与分については、民法第904条の2に定められています。

同法第1項によれば、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者」が寄与分を取得し得るとされています。

また、同法2項によれば、遺産分割協議では寄与分についての話し合いがまとまらない場合には「家庭裁判所は」「寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める」ことができるとされています。

介護との関係においては、「被相続人の療養看護」によって「被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」をしたといえる必要があります。

介護が、一般的な親族の扶養義務の範囲内のものであったという場合は「特別の寄与」とまではいえません。

例えば、長期に渡って日常的に介護・看護を行い、ヘルパーや介護施設費の支出が抑えられていたという場合や、介護に必要な費用を負担していたという場合で、被相続人の財産が減ることを防いでいたというときには「特別の寄与」があったと認められる可能性があります。

なお、寄与分と似た制度に、特別寄与料というものもあります。

特別寄与料は、被相続人の親族のうち相続人ではない方(例えば相続人の配偶者など)が被相続人の介護を行っていたというような場合に、その介護を行っていた方が相続人に対して寄与の度合いに応じた金銭を請求できるという制度です。

3 被相続人が要介護状態であったこと、およびその程度を示すもの

まず、前提として被相続人が介護を必要とする状態であったことを証明できる必要があります。

具体的には、被相続人の主治医などから取得した診断書やカルテの写し等が挙げられます。

認知症が進行していたり、身体の一部が不自由であるなどの事情によって、生活を送るためには介助が必要であったことがわかることが大切です。

被相続人の病気や障害等に関する診断書は、一般的に法的な証明をする場面においてとても有用であることに加え、介護等に関する手続きでも利用することがあるので、診断の都度しっかりと取得しておくことをおすすめめします。

4 被相続人の介護を実際に行っていたことを示すもの

被相続人の主治医や公的機関への説明資料とすることも兼ねて、日々の介護内容を記録した日誌などを作成しておきましょう。

いつ、どこで、何をしたかなどを具体的に記載し、他の証拠と併せて介護をしていたことを証明できるようにします。

後付けで介護日誌を作ったという反論に対応できるようにするため、被相続人がご存命のうちから、定期的に他の相続人に介護日誌の写しをメールなどで送っておくことも有効であると考えられます。

5 介護のために相続人自身が負担した費用を示すもの

被相続人の医療費や介護施設、デイサービスの利用料などを負担していた場合には、領収書を保存しておきましょう。

これらの資料を、4の介護日誌と合わせて時系列順に保存しておくことで、何に対して負担した費用であるかを、より具体的に説明することができるようになると考えられます。

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